タグ:展示, マンガ, て, 天使の時空船, コミックトム, 1993(平成05)年, 潮出版社, 1995(平成07)年
収録 | マミアの選んだ道 レオナルドの生まれた日 悪魔の水浴 クリスティンの涙 楯に描いた絵 秘密の部屋の宝物 魔女が去った日 |
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初出 | 1993(平成05)年『 コミックトム』5月号 |
奥付 | 天使の時空船 <第1巻> 1995(平成07)年02月10日 初版第1刷発行 |
著者 | 松本零士 |
発行者 | 富岡勇吉 |
発行所 | 株式会社潮出版社 東京都千代田区飯田橋3-1-3 〒102 電話:03-3230-0645(編集)03-3230-0741(販売) 振替:00150-5-61090 |
造本 | 森枝雄司 |
印刷・製本 | 大日本印刷株式会社 |
定価 | 570円(本体553円) |
備考 |
気が向いたので少し、コラムめいたモノを書いてみようと思う。
「松本零士 作品一覧 1980年代(昭和55~平成01年)」を仔細に見ていただくと分かるかと思うが、1970年代からの所謂「松本零士ブーム」は、アニメを含めて1980年代前半で終焉しているように思うだろう。
個人的には当時『漂流幹線000』や、『HARD METAL』等を新刊本として買い求めて読んではいたが、1980年代は松本先生の1970年代の少年マンガから青年マンガへ、そして自身の好きなテーマでマンガを描きたい時期ではなかったか、と思う。
そういった意味で「ザ・コクピット」シリーズで言えば、『HARD METAL』(全3巻)は、私からしても中途半端な気さえするほど、テーマが定まっていないかのように思う。
私は基本的に松本先生は未来志向のマンガを描くマンガ家だと思っていて、それがサルマタケが生えるような大四畳半から大宇宙までといったスケールで、途方もなくマンガを描き続けた偉大なマンガ家だと思うが、戦場まんがシリーズを含めた「ザ・コクピット」シリーズでは例外的に過去の戦記をベースに材を取ったマンガを描いたと思う。
それがどういうワケか、1980年代の終り頃に半村良の原作から『妖星伝』(全2巻)を描き、『明日から来た影 GENNAI』(書き下ろし)で平賀源内を描くに至った。
私には松本先生の心境の変化がどういったものであるか知る由もないが、1990年代に「ザ・コクピット」シリーズを引き継いだ形の『ケースハード』は、より日本と日本人へのメッセージ性が強く、一本芯が通った作品だと思うが、どうだろう?
そこで不思議なのが、本作の『天使の時空船』(全7巻)だ。
なぜ中世のイタリアが産んだ天才レオナルド・ダ・ヴィンチに材を取り、SFマンガに仕立てたのか?なぜ今もなお謎が多いレオナルド・ダ・ヴィンチの生涯を正確にトレースしながら、SFマンガにする必要があったのだろう?
・・・正直なことを言えば、当時の私は『天使の時空船』を本屋で見かけ、すぐさま刊行のたびに新刊本を買ったが、ウカツなことに『ケースハード』の刊行を知ったのは1~2年後になってからだ。
仕事も忙しかったが、当時はWindows Ver3.1が日本でも大流行し、Windows Ver3.1でシステムの設計・開発が出来るSEやプログラマが極端におらず、私は多忙を極めていた。だから深く考察する時間はなかった。
ともあれ、1980年代後半から1990年代前半は『陽炎の紋章』の時代モノ(歴史モノ)を含め、『ケースハード』等で松本零士マンガが青年層(青年誌)を中心に見直された契機になったと思う。
これは単なる私の個人的な感想であり、私がそう思っているだけに過ぎないが、1990年代の松本先生は「過去があるから現在がある」「現在があるから未来に通じる」ということを、マンガで強く表現したかったのではないか?と思う。
しかし・・・気が付けば『天使の時空船』も、もう刊行されてから約30年も前の作品なんだなと思うと、ついこの間のことのように思うから不思議だ。
今はマンガを中心に展示を行っているが、それはなるべく早く「松本零士 作品一覧」を完成させたいからに他ならない。
マンガ以外にも大量のコレクションがあるし、私もチョイチョイ記事を書くので、楽しみに待っていて欲しい。