タグ:展示, DVD, き, 銀河鉄道999, COMPLETE DVD-BOX, 真紅の女海賊, 東映アニメーション, エイベックス, 2002(平成14)年
収録 | DISC-1 017 装甲惑星 018 泥のメーテル 019 ざんげの国 020 プロフェッショナル魂 DISC-2 021 枯葉の墓標 022 海賊船クィーン・エメラルダス 023 原始惑星の女王 024 次元航海惑星 DISC-3 025 鋼鉄天使 026 白骨の歌 027 雪の都の鬼子母神 028 かげろう星の文豪 DISC-4 029 サケザン大陸 030 幽霊世界のフィラメント 031 怒髪星 032 停時空間のかじられ星 DISC-5 033 ウラトレスのネジ山 034 ブレーテッド・シティの魔女 前編 035 ブレーテッド・シティの魔女 後編 036 大酋長サイクロプロス 豪華解説書 原作者メッセージ付き原画イラストボード 999車両側面マーク ピンバッチ |
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原作 | メーテルは遺伝子が描かせた女性 原作:松本零士 長所か短所か分からないけど、1つだけ描けないものがある。それは王侯貴族の生活。もう極貧前提で、歯を食いしばって生きている人間が、私の作品には多い。それしか知らないんだから、やむを得ないですよ(笑)。メーテルは機械帝国のプリンセスです。けれど彼女は悲しい宿命を背負っている。歯を食いしばって、旅をしている。だからメーテルは描けるんです。 『999』では描いていないけど、後に『メーテルレジェンド』で詳しく描いた機械帝国誕生の時から、全ては始まっている。母親・プロメシュームが、機械に体を乗っ取られてゆく・・・・・・その前に、いつか帰って来て私を倒しなさい、とメーテルとエメラルダスの双子の娘たちに想いを託して、二人を999号で宇宙へ送り出す話ですから。機械によって母親の意思は消えてゆく中ですから、死にものぐるいですよ。娘たちは母親を信じて、そして最後には母親を倒さなければいけない。その目的で旅をしている。完全に機械化したプロメシュームに従い、夢を追う少年たちと接する役が妹のメーテル。姉のエメラルダスは厳しくそして闘う役をやる。この幻想的な姉妹はそういう宿命を背負って宇宙を旅しているんです。 メーテルはどの少年の心の中にもいてね、いっしょに旅をして共に泣き笑い喜び悲しみ、励ましてくれる。だから少年たちも歯を食いしばる。少年が百人いれば彼女も百人いる。一万人いれば一万人いる。で、その思いが薄らいだ時、あなたは大人になったんですよと。少年の日の夢、幻影だと。じゃあ少女の中にはいないのか? いや少女の中にも同じようにいるわけですよ。強い女性になるために、歯を食いしばれと。生き抜けと。もしあなたが夢を果たせなくても、あなたの子供があなたの夢をきっと果たすよ。そう教えてくれ、希望を支えてくれる。歯を食いしばらせてくれる、夢への旅の同行者なんですよ。 メーテルのモデルはね、いるんですよ。小学生の頃の同級生でね。いつも黒い服を着てて、ピアノが弾けてね。スーっとしてて、やさしい人だった。絶対に男の子に強いことを言ったりしない。私みたいな、風呂に入らないカサブタだらけのガキだってね、いっしょに遊んでくれた。髪の毛の長い女性だった。私が描く女性の髪の毛が長いのは、その憧れがあったから、ですかね。男子の同級生たちとは山猿&トドと化した山野や海を暴れまわりました。 エメラルダスの方は、私をブン投げてくれた強者がいてね(笑)。小学4年生の時、柔道で挑戦したら負けたのよ。まさか道場通いしてるとは思わないじゃない。床に叩きつけられてベターン!って音がしたんですよ。周りも思わず見るじゃない。男子たるもの女に投げられたなんて、私の故郷・九州では特にねぇ。でもたまたま投げられた場所が校舎の廊下で、十字路になってる所だったから、誰にも見られてなかったの。そしたらそのコ膝ついて「今のは誰にも言わんといてるからね」って。そういう部分が参考になってる。思いやりね。男の面子を傷つけないでやるって、九州の女性にはそういう気質があるんですよ。外では男を立てる。ただし家に帰ればその限りにあらず、ですがね(笑)。で、結局その人はずっと言わなかった。つい先日、同窓会の時に初めてバラした、私が。「オレ実はコイツにブン投げられたんだけどね、黙っていてくれたから面子がたったんだ」って。もちろん大笑いになっちゃった。今でもやさしい人だったね。 やっぱり憧れの女性って、そういう子供の時に出会った人がモデルになるわけですよ。自分の好みというか。それで大人になってから再会してみるとね、皆堂々たる強者の女性になってるわけ。颯爽とやって来てね、帰る時も「それでは松本さんお元気で」って。そういう見事に言われると、オレの目に狂いはなかった(笑)。うれしいもんですよ。皆メーテルみたいにスラッとしててね。怒らせるとコワいけど、やさしくて思いやりがある。 スタイルが皆スレンダーなのは、グラマーなのは子供の時には過剰な感じがしたからです。私のキャラクターの中で一番グラマーなのはエメラルダスです。彼女の表現描写あたりが精一杯です。 メーテルはなぜこういう顔をしているのかというと、遺伝子が描かせたんだと。私の先祖の近くにまったく同じ顔の女性がいたんですよ。今調査中なんですけどね。でもこの2000年4月頃発見されて私のところに送られてきた写真。この女性を見て呆然としました。自分が描く女性キャラクターとまったく同じだったからです。スターシャやメーテルそのもの。見て描いたように眉の線からまったく同じ顔を描き続けている。もう15~18歳の時には完成していたわけで、その顔を復元してしまっていたのだったと。この写真を見つけて知ったんですね。だから皆さんの夢や希望も全て遺伝子に支配されていますよ。ご先祖の誰かのね。 で、この女性はやさしそうに見えるけど、芯の強いまなざしで「あなた男でしょ、泣き言言うと許しませんよ」って、そんな厳しさがある。おこられてるような気がするですよ。そんな彼女が亡くなったのが1938年。まるでバトンタッチするように。その話をフランスやアメリカから来た人に話すと「何だ、おれたちは140年前から友人なんだ」って。「それならあんたのキャラクターに我々が違和感を感じないのは当前だ」と言って納得してくれます。何故日本人がこういうキャラクターを描くのかが不思議だったらしいんですよ。 では次に、心の中を走る遺伝子の列車・999号にまつわる、空間鉄道の話をしましょうか。 |
企画 | 森下孝三 |
製作 | 長澤孝之 |
発売 | 2002(平成14)年11月20日 東映アニメーション株式会社 エイベックス株式会社 |
税抜定価 | 24,800円 |
備考 |