タグ:展示, マンガ, き, 恐竜荘物語, 日本文芸社, 1977(昭和52)年, 漫画ゴラク, 1976(昭和51)年
収録 | ①恐竜荘物語 ②夜のナメクジ塩水ゴロシ ③波孔雀 ④ジュリーの魂 ⑤地震地帯夜の上下 ⑥女体ぜめジュリー秋の夜長 ⑦吸血家 ⑧分家猫騒動記 ⑨男の本物この世の華 ⑩ジュリー男のたまごころ ⑪零時の神風中年降服 ⑫パニックマンション上下動 ⑬月夜のタヌキの物語 |
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初出 | 「恐竜荘物語」1976(昭和51)年『漫画ゴラク』9月2日~全18回 |
奥付 | ■ゴラク・コミックス■ 恐竜荘物語 1977(昭和52)年08月15日 発行 |
巻末 | 親友『恐竜荘』のジュリー氏 松本零士 一年一年たっていくにしたがい、その一年が次第に短くなっていくものらしい。去年よりは今年が短いらしい。短くなっていくのに反比例して自由にゴロゴロしていたいという願望は、年々強くなるものらしい。 自由にゴロゴロしていられるのに、それが快感でなく不安であるのが、海のモノとも知れず山のモノとも先が知れない独り暮らしの日々であるものらしい。恐竜荘のミスター・ジュリーに代弁してもらいたかったのは、そういう日々毎日の暗澹たる時間の経過でありました。 自由にふるまい、やりたい時にやり、それが快感なのは、時々誰かが小言や文句を言うからでありまして、そういう人の目を盗んでゴロゴロする時の大快感的精神状態はまさに想像を絶する麻薬的快感感覚なのでありまして、だからミスター・ジュリーが恐竜荘で送っているわけのわからない日々は、その回りに存在するわけのわからない怪人物達と共にあって生涯ただ一度、男に許される楽園を快感的にさ迷い歩いているという事になるのでありましょう。 自由と引き換えの寂寞たるたとえようもない孤独感は、いずれその後の修羅場に身を投ずれば、永久に帰らない事をいやでも理解させられる春の夜の夢なのであると、ミスター・ジュリーは本能的にあいまいに感じとりながら、恐竜荘とその回りをウロツイているのであります。明日の事が概ね見当のつく人達には無縁の図式で、自分でもどうなるのかわからない男の習性化した行動を、ミスター・ジュリーをおいて語ってもらったのがこの『恐竜荘物語』なのであります。 かく理屈を並べたてるのも本来空々しくも虚しい事で、短く言えばミスター・ジュリーに託した「願望」が『恐竜荘物語』にほかならないのであります。 だからミスター・ジュリーはまだまだ果てしなくそこらをウロツクでありましょう。ウロツイてくれてこそ、私も生き甲斐があるのであります。「大四畳半」以来の親友、それがこの偉大なるミスター・ジュリーなのであります。 |
著者 | 松本零士 ©松本零士 1977年 |
編集者 | 岡部林一郎 |
発行者 | 兵藤武郎 |
印刷所 | 暁印刷株式会社 |
発行所 | 株式会社日本文芸社 東京都千代田区神田神保町1-8 振替口座 東京8-73081 TEL 代表(03)294-8931 〒101 |
定価 | 490円 |
備考 |