さよなら銀河鉄道999設定資料集(少年画報社)


タグ展示, ムック, , さよなら銀河鉄道999, アンドロメダ終着駅, 設定資料集, 劇場映画, 少年画報社, 1981(昭和56)年


 

さよなら銀河鉄道999設定資料集  

『さよなら銀河鉄道999設定資料集』表紙 『さよなら銀河鉄道999設定資料集』背表紙
『さよなら銀河鉄道999設定資料集』裏表紙

詳細情報  

巻頭カバー◆「さらば私のメーテル、さらば銀河鉄道999」(スリーナインの完結編にあたって--)
<企画・原作・構成> 松本零士

 前作で描いた『少年の旅立ち』は、鉄郎の意思もありましたが、むしろ彼を導くメーテルとの宿命的に結ばれた旅でした。
 この最新作は、鉄郎が自分自身の意思で命がけで運命を切りひらいていくという、きびしい状況の中を旅立っていくわけです。
 今回、なぜ続編を作るかというと、決して前作がヒットしたからという理由ではありません。前作では、ひとつの旅が終わって帰ってきた時に、実はこれは青春の経験を積んだということはあっても、機械帝国の問題については何ひとつ解決していなかったのです。そこまで描かないと、ひとつの物語の終りにならないとかんがえたからです。
 ですから今回の『999』は、少年の自立編ともいうべき形で進行し、今までナゾになっていたすべての部分を明らかにします。
 メインテーマとしては、『999』の物語全体を貫いている”限りある命の賛歌”です。
 これは、少年の日を支えた夢や希望に相当するメーテルという存在が、形を変えた”青春の幻影”ではなかったろうかという問いかけと、限りある命の流れ、それは親から子へ、子から孫へ絶えることなく受けつがれていく命というものがどんなものかを、ストレートに描きたいということからきてるわけです。
『銀河鉄道999』というのは私の青春とダブった作品だと思っています。それは鉄郎にたくした自分自身の青春そのもの、自分も999に乗って、メーテルや車掌と一緒に旅をしているという想いが、いつもつきまとっている作品なのです。
 ですから、これは私の他の作品の中でも、特に『四畳半』ものや『男おいどん』からつづいてきたひとつの流れが、そのまま999に受けつがれていったといってもよいでしょう。
 そういう意味では、私にとって始めもなければ終わりもない物語になるということも考えられるのです。
 しかし、そうはいってもいくら愛着があるとはいえ、物語というのは起承転結があり、始まりがあればいつか必ず結末がくるのは当然のことです。ここで、私自身ひとつの区切りをつけるためにも、とりあえず『999』とはおさらばしようと思ったわけです。
 恵まれた状況のもと、体も元気がいい時点で精一杯がんばって結末をつけられるのは幸せといえば幸せですが、やはり感無量です。と同時に、別れるつらさを味わっています。
 私自身、実際にメーテルと別れてしまうような淋しさがあります。『999』に別れることは、私にとってメーテルと別れることなのです。永遠に・・・・・・。
 そして、この先、『999』を私の胸の中に走らせながら、新しい劇場用映画作品『1000年女王』や、それにつづく『わが青春のアルカディア』などに気持ちを振り向け、同時に本来の仕事である漫画を描きながら進みたいと思っています。これから先は『999』を土台にして進みたい、そのためにここで結末をつけるということでもあります。
『999』が完結という形をとったあと、もし、そのつづきがあるとしたら、それは映画を観てくださったみなさんの心の中にお渡しすることでしょう。そして、みなさん一人びとりの心の中で、それぞれ別々の999を走らせていただけたら、私にとってこんな幸せなことはありません。
 それが、先ほどもいいましたテーマである”限りある命の賛歌”と同じように、親から子へ、子から孫へといった生命の流れのように、いつまでも語りつがれ走りつづける列車であってほしいと思うのです・・・・・・。
収録2大ポスター縮刷版
小松原一男オリジナル・ポスター
全ストーリー特集
ギャラクシー・プレリュード
本誌独占 松本零士㊙メモ初公開
シナリオ決定稿完全収録
主題歌特集
声優名鑑
特別企画 スタッフ座談会 遊び心が必要な映画作り 高見義雄/りん・たろう/小松原一男/椋尾篁
オール・スタッフ
設定資料完全収録
 ①キャラクター設定
 ②メカ設定
 ③美術設定
 ④絵コンテ
奥付さよなら銀河鉄道999設定資料集
1981(昭和56)年09月22日
原作者松本零士
©松本零士・東映動画
編集人小林照雄
発行人今井堅
発行所〒112 東京都千代田区三崎町3-3-12
(株)少年画報社
電話 東京03(266)3501
振替・東京5-20260番
定価1,200円
備考

購入  

コラム  

原作マンガがないものの、松本零士先生が書いているように(「巻頭カバー」欄参照)、本作で「銀河鉄道999」は終了となるハズだった。少年画報社の雑誌『少年キング』での連載も終了し、最終巻である18巻が出版されたのは1981(昭和56)年12月15日だ。
ところが、1996(平成08)年に突如として小学館の雑誌『ビッグコミック』系で不定期に連載が再開され、少年画報社版の『銀河鉄道999』も小学館から全部復刻して出版される等、ファンとしては喜んで良いのか、事態がよく飲み込めなかった(加えて言うならば、1998(平成10)年に劇場公開された「銀河鉄道999エターナル・ファンタジー」は、中途半端な内容で非常に不評だったようだし、私も不満だった)。
宇宙戦艦ヤマト」がまだやるんかい!?的に劇場版アニメが作られたことを考えると、まだしも「銀河鉄道999」はマシな方だと思うが、この「さよなら銀河鉄道999」は前作には及ばないものの、11億5,000万円の映画配給収入を得ている(ちなみに「エターナル・ファンタジー」の映画配給収入は2億円程度だから、てんでお話にならない。観に行ったけど)。
本の内容としては、前回展示した『銀河鉄道999(THE GALAXY EXPRESS 999)劇場映画設定資料集』や、『銀河鉄道999設定資料集TVアニメ総集編』に比べると、内容的にそれほど読み応えもなく、設定資料集としては貴重だが、それ以上のものではない。
当時はこういった設定資料集が出版されたモノだが、今はどうなのだろうか。
公式を含め、ネットにいくらでも情報や動画があるから、人気アニメでも設定資料集は出版されないのかも知れないが、そう考えると「ネットによるデジタル消費」というのは案外下らない文化なんだな、と思う。

2020(令和02)年06月25日 私設松本零士博物館(Facebookページ)掲載内容を一部改変

関連記事  

関連ページ  


人気上位6ページ

今日の人気上位6ページ


ページトップボタン